礼装用の着物とは? 礼装用の着物の種類とそれぞれの特徴

投稿日:2021年08月15日

礼装用の着物とは? 礼装用の着物の種類とそれぞれの特徴

結婚式やお葬式などのあらたまった席には、場にふさわしい着物と着方のルールがあります。失礼になることもあるので、着物の種類と特徴を知っておきましょう。

礼装用の着物の種類

礼装用の着物は大きく分けて、正礼装(第一礼装)と準礼装(または略礼装)があります。正礼装は、第一親等の結婚式やお葬式で着る着物。最も格の高い装いです。準礼装もしくは略礼装は、第一親等以外の親戚や知人の結婚式、お葬式、法事などで着る着物です。結婚式やお葬式では、式を催す側の方よりも格上の着物を着て参列するのは失礼にあたります。

女性の礼装用の着物の特徴と選ぶべきシーン

基本的には着物の種類によって正礼装、準礼装が分かれますが、紋のつけ方によって格が上がる着物もあります。

黒留袖

黒留袖は、既婚女性の正礼装(第一礼装)になります。新郎、新婦の母親や祖母などが着ます。招待客として参列する式で着ることはできません。

公的な場では黒が正式な色です。襦袢は必ず白にします。

黒留袖には、染め抜きの五つ紋(両前身頃、背中心、両袖)を入れます。

江戸褄といい、上半身には柄が無く下半身にだけ柄が入ります。縁起が良くおめでたい吉祥文様(鶴、鳳凰、獅子、牡丹、熨斗、亀甲、扇など)が縫い目をまたいで柄が続く絵羽模様で入ります。

仕立て

衿元、袖口、裾は羽二重が重なったように見える比翼仕立てにします。

金銀糸などを用いた豪華な袋帯。格調高い吉祥柄(有職紋など)の帯を、二重太鼓に結びます。

色留袖

既婚女性の順礼装。宮中か黒が禁色なので宮中へ上がる時は色留袖が正装です。招かれた結婚式、茶会、祝賀会など幅広く着られます。

黒以外の色。年齢に合わせて明るめ~渋目まで各色あります。

染め抜きの一つ紋(背中心)か三つ紋(背と両前身頃)を入れます。五つ紋を入れると格が上がって正装扱いになります。

黒留袖と同じ江戸褄で、吉祥文様が絵羽で入ります。

仕立て

五つ紋を入れる場合は、黒留袖と同じく衿元、袖口、裾は羽二重が重なったように見える比翼仕立てにします。

金銀糸などを用いた豪華な袋帯。黒留袖と同じく二重太鼓に結びます。

振袖

未婚女性の正礼装です。すべての慶事の席に着ることができます。袖丈によって大振袖、中振袖、小振袖があり、袖が長いほど格が高く小振袖は略礼装になります。

華やかな色が主流。大振袖は花嫁が着るので、黒などもあります。

一つ紋や三つ紋を入れる人もいますが、総柄で紋が入らないものも多いので、紋がつかない振袖が一般的です。

縁起が良くおめでたい吉祥文様や花文様などが、総柄(着物全体に柄がある)で入ります。

金銀糸などを用いた豪華な袋帯。格調高い吉祥柄の帯を、飾り結びにします。

(正)喪服

葬儀など不祝儀の正礼装(第一礼装)として、未婚、既婚を問わず着用します。柄無しの黒一色で、家紋を染め抜き日向五つ紋で入れます。

訪問着

未婚、既婚を問わず慶事に着用することができる準礼装(略礼装)です。紋の入れ方で格が変わります。招待された結婚式やパーティーなどに着用できます。

お祝いの席には明るめで華やかな色が主流です。

一つ紋や三つ紋を入れます。パーティーなどでは、自由なデザインを入れることができる「しゃれ紋」をつけることもあります。

肩から袖、裾へかけて絵羽(縫い目をまたいで柄がつながる)模様で柄が入ります。吉祥文様や花文様などおめでたく華やかな柄が主流です。

金銀糸などを用いた豪華な袋帯。格調高い吉祥柄を二重太鼓や変わり二重太鼓にします。

男性の礼装用の着物の特徴と選ぶべきシーン

女性ほど種類がありませんが、小物使いなどで慶弔が変わるものもあるので、間違えないようにしましょう。

黒紋付き

羽二重など黒一色の長着に仙台平などの袴をつけ、染め抜き五つ紋の付いた羽織を着ると、慶弔を問わず正礼装(第一礼装)になります。弔事の場合、喪主か親族以外は正喪服を避け、準喪服にします。

色紋付

色無地か細い縞の長着に紋付き羽織を着ると、準礼装もしくは略礼装になります。通常一つ紋か三つ紋で、三つ紋にすると女性の色留袖と同格。五つ紋にすれば、新郎の婚礼衣装にもなります。

お召一つ紋付

お召しに一つ紋~三つ紋をつけると格が上がって略礼服となり、女性の色無地(紋付)や訪問着と同格になります。

着物は場に格を合わせることが大事です。結婚式などのフォーマルな席に参列する際は上記を参考に、場に合う着物を選びましょう。

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