着物を着ているときに取り入れよう! 簪の種類と特徴

投稿日:2021年08月11日

着物を着ているときに取り入れよう! 簪の種類と特徴

簪(かんざし)は、着物姿を華やかに、あるいは可愛らしく引き立てる和のヘアアクセサリーです。素材やデザインなど、どんなタイプの簪があるのか、どんな着物と組み合わせれば良いのか、簪の種類と特徴を知ってコーディネートに役立ててください。

簪の歴史

簪の歴史は古く、縄文時代の古墳からも髪をまとめて留めるまっすぐな棒状の道具が見つかっています。この時代の簪は装飾というよりも、「生命力を宿す印」や「邪気を祓う魔除け」といった意味を持つものだったようです。

現代の簪の起源には諸説ありますが、神事などで頭につける「かざし」(「花挿し」または「挿頭花」)が、花簪など装飾的な簪の起源だとされています。
実用品としての簪は、「耳かき」に起源を見ることができます。京都「稲荷山経塚」から発見された日本最古の耳かきは、金銅製で簪の形をしています。この「耳かき」は平安後期~鎌倉のものと推定されており、耳かきのついた簪を髪に挿して、耳や頭皮を掻くのに使っていたのではないかという説もあります。

商品としての「耳かき簪」は江戸時代に生まれました。高橋図南が考案した「耳かき簪」を商人が売り出したところ評判になった、という記述が『嬉遊笑覧』(喜多村信節著1830年)に残されています。「耳かき簪」は江戸中~後期の大ブームとなり、浮世絵にも数多く描かれています。

寛政の改革で倹約令が出された時も、「耳かき簪」は簪(贅沢な装飾品)ではなく耳かき(実用品)という大義名分で使われ続けました。現在も先端が耳かき型になっている簪が多いのにはこんな歴史があったのです。

簪の種類と特徴

簪の種類と特徴、合わせる着物、おすすめの使用シーンなどをご紹介します。

玉簪

棒に丸い玉がついたシンプルな簪です。飾り玉にはさまざまな素材が使われますが、サンゴや翡翠、象牙、べっ甲などの高価なものであれば、格の高い着物にも合います。

平打簪

丸くて平らな飾りがついた簪です。平打簪は先端が耳かき(実用ではないので通常よりも大きなサイズ)になっているものがほとんどです。昔は円盤状の部分に家紋を入れることが一般的でしたが、現在ではさまざまなデザインのものがあります。

つまみ簪

花簪とも呼ばれます。縮緬などの絹をつまんで花びらに仕立てたもので、可憐で華やかな雰囲気のある簪です。舞妓さんや半玉さん、若い女性向けのデザインが多く見られますが、大人も楽しめる渋めのデザインもあります。

チリカン

「前挿し(前髪に挿す簪)」として多く使われる簪です。飾り部分がバネで取りつけられているため、歩くと揺れて飾りがぶつかり合い「チリチリ」と音をたてます。また、「ビラ」と言われるスダレ状の金属片が付いたものが一般的です。

バチ型簪(扇型簪)

三味線のバチのような扇型をした簪です。べっ甲や蒔絵などの高価なものもあり、上品で大人っぽい印象を与えます。格の高い着物にも合う簪です。

コーム簪

「髪飾り」と呼ばれる簪の代表的なものがコーム簪です。櫛のような形状になっており、まるで髪を梳く感覚で使用できます。しっかり固定できるため、ピンポンマムやダリア・リボンなど大きな飾りがついているものが多く、華やかな印象になるため、成人式や卒業式などの式典でよく使われます。

Uピン簪

ふたまた簪とも呼ばれるUピン簪は、夜会巻きやお団子などのアップのヘアースタイルやまとめ髪の補助に便利なヘアアクセサリーです。パール、お花のチャームやビジュー付きのものも多く、軽くて小さめな飾りのものが多いのが特徴です。

簪以外に取り入れられるヘアアクセサリー

一般的なヘアアクセサリーの中には、簪と同じように着物に合わせられるものがあります。

バレッタ

幅広クリップで留めるバレッタは、アップスタイルやのアクセントに最適です。素材はパールや金銀細工、ちりめん細工、アートフラワー、リボンなど、着物に合うものを選びましょう。

マジェステ

マジェステとは、半円状などのモチーフを髪の結び目にかぶせ、スティックで固定するヘアアクセサリーです。ゆるふわのまとめ髪やお団子も、マジェステを挿すだけでぐっと華やかになります。着物に合わせる場合は、全体のバランスを考えて大きめのマジェステを選ぶと良いでしょう。

着物はネックレスや指輪などのアクセサリーはあまりつけませんので、髪型やヘアアクセサリーが大きなポイントになります。着物ならではの簪にするか、使い慣れたバレッタやマジェステにするか、上記を参考に自分に合うアイテムを選んでみましょう。

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