夏と秋の着物である単衣とは? 単衣の特徴について

投稿日:2021年07月16日

夏と秋の着物である単衣とは? 単衣の特徴について

着物には、「単衣(ひとえ)」と「袷(あわせ)」があります。単衣は夏~秋用、袷は冬~春用の着物です。日本は四季がありますので、季節に合わせて着物を選ぶ必要があります。ここでは、夏と秋の着物である「単衣」についてご紹介します。

着物の一種である単衣とは?

「単衣」と「袷」の違いは、基本的には仕立て方です。裏地をつけているのが「袷」、表と裏2枚の布を縫い合わせているので「袷」といいます。袷に対し、裏地なしで仕立てるのが「単衣」。裏地がない分薄手で、涼しく着られます。

「単衣」は夏~秋の着物ですが、ほかに夏の着物としては、盛夏(7、8月)に着る「薄物(うすもの)」があります。薄物は、その名の通り生地自体が薄手で、下に着た襦袢が透けて見えます。襦袢を透けさせて着ることで、見た目も涼やかな装いになります。
薄物も裏地がついていないので仕立て的には単衣になりますが、単衣と薄物を区別するために、一般的に「裏地がついていない単衣仕立てで、生地が透けないもの」を単衣と呼んでいます。

単衣の着物はいつからいつまで着用することができる?

「単衣」を着用する時期は、一般的に6月と9月とされています。7~8月の盛夏は「うすもの」を着用する時期となります。10月から5月までは「袷」を着用します。
ただし、あくまで目安であってルールではないので、梅雨寒の頃や冷夏で寒い日に「袷」を着ても構いません。ただ和装では季節感を大事にする傾向にあるので、季節が過ぎたのにいつまでも前の季節の装いをしているのは、野暮に思われてしまうかもしれません。9月になったらまだ暑くても、うすものから単衣へ替えるのがおすすめです。

逆に、季節を先取りするのは問題ないとされています。5月の初夏らしい日のお出かけに単衣で軽やかに装うのは、季節を先取りすることになるのでOKです。

単衣の着物を着るときの小物の選び方

和装では、着物と帯、小物の素材感、柄の季節感を合わせるのがコーディネートの基本です。

長襦袢

仕立て方で分けると長襦袢には、「袷」「単衣」があります。袷は裏がついた仕立て、単衣は裏がない仕立てです。単衣の着物を着る時は、長襦袢も単衣で合わせます。暑い時期には通気性が良く吸汗性のある夏襦袢を選びます。夏襦袢は絽(ろ)など、透け感があって通気性の高い素材でできています。夏襦袢の主な素材は以下になります。

  • 絽(ろ)…糸に隙間があって透ける夏用の代表的な生地。綿絽と絹絽があります。
  • 紗(しゃ)…織目が粗く透け感があります。
  • 麻…シャリ感のある肌触りで、生地に張りがあり涼しい夏の高級生地です。
  • レース…通気性が良く吸湿性に優れます。コットン、化繊など種類があります。

襦袢にはフォーマル用とカジュアル用があります。白や淡い色はフォーマル用、濃い色がついたものはカジュアル用と覚えておきましょう。

半襟

単衣を着る6~9月は、半襟の素材を変えることで「初夏」「夏」「盛夏」「初秋」と季節感を出すことができます。「塩瀬(しおぜ)」や「縮緬(ちりめん)」は袷用の半襟なので、夏着物には合わせないようにしましょう。単衣に合う半襟と季節感は以下になります。

  • 絽(ろ)…6月~9月
  • 麻絽(あさろ)…6月下旬~8月
  • 楊柳(きんち)…5月、9月中~下旬
  • 絽縮緬(ろちりめん)…6月上~中旬、9月中~下旬

単衣に合わせる帯は夏帯と呼ばれます。夏帯は、単衣で張りのある織りや、透け感のある素材で作られます。「絽」、「紗」、「羅(ら)」、「麻」、「綴れ(つづれ)」、「単衣博多」、「紬(つむぎ)」など、さまざまな織りの夏帯があります。

帯締め、帯揚げ

単衣に合わせて帯揚げ、帯締めも、「絽」や「紗」などの夏素材のものを選びます。透け感が大事なので礼装以外なら、寒色や淡色のレースやシフォン素材もおすすめです。

コート

透け感がある「紗」は夏の定番コートです。カジュアルならレースのコートも人気があります。コート代わりに着るジョーゼットのうすものショールやケープもあります。

単衣の特徴と着方を覚えたら、もう立派な着物通です。上記を参考に、夏~秋には単衣の着物を楽しんでください。

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