着物の素材の種類とそれぞれの特徴

投稿日:2019年07月30日

着物の素材の種類とそれぞれの特徴

洋服の場合、カジュアル、ドレスアップ、フォーマルとTPOに合わせて服の種類や着るシーンが分かれていますが、着物もシーンに合わせて着る着物の種類が分かれています。素材の種類とそれぞれの特徴、どんなシーンで着用することができるのかを知っておけば、出かける場所によって何を着て行けば良いか迷うことがありません。

絹で作られた着物

柔らかで光沢のある絹は、着物素材の中で最上級の位置づけです。同じ絹でも糸の撚り(より)方や織り方によって、羽二重(はぶたえ)、縮緬(ちりめん)、お召し、紬など生地の種類があります。同じ織物なら他の糸で織った生地より絹で作られた着物が格上。付下げ、訪問着以上の高級着物には絹が多く使われます。

木綿で作られた着物

繊維が太く丈夫な木綿で作られた着物は、普段着用です。先染めした糸を織る「絣(つむぎ)」や「絣(かすり)」も、絹で織った場合は洒落着、木綿なら実用着になります。木綿は吸湿性・通気性に優れ、肌触りが良いので、単(ひとえ)の着物によく用いられます。夏の浴衣も木綿が多く用いられます。

麻で作られた着物

薄手で張りのある麻の着物は、夏の普段着用です。麻の中でも細く上質な麻糸で織った生地は「上布」と呼ばれる高級品。格はあくまでも普段着ですが、高価な嗜好品なので趣味の会などに街着として着て行くことができます。

ウールで作られた着物

厚手の毛織物であるウールは、冬場の普段着に多く用いられます(一部サマーウールと呼ばれる薄手の夏物もあります)。丈夫でシワになりにくく汚れに強いので、気軽に着ることのできる着物です。

ポリエステルで作られた着物

化学繊維のポリエステルは、天然繊維より強度があって汚れに強く、自宅で洗うことができます。トロミのある素材で、「やわらかもの」(付下げや訪問着、振袖、小紋、色無地など格の高い着物)にも用いられます。扱いやすく価格も安いので、着物初心者におすすめの着物です。

着物の織り方の種類

着物は素材だけでなく、織り方でも種類が分かれます。

羽二重(はぶたえ)

経糸と緯糸を交互に交差させる平織で織られた布です。糸が絹の場合は「光絹(こうきぬ)」と呼ばれ、高級呉服に使われます。なめらかでしっとりとした肌触り、留袖などの他には着物の裏地にも用いられます。

縮緬(ちりめん)

経糸に撚りのない糸、緯糸に撚りの強い糸を使った平織です。表面に細かいしぼ(凹凸)があり、色無地、留袖、訪問着など高級呉服に使われる生地です。縮緬は白生地で織って、後から染めるのが一般的。ポリエステルやレーヨンの縮緬もあります。

お召し

縮緬の一種で、先練り先染めの高級絹織物がお召しです。縮緬よりしぼが細かく、生地にコシがあります。「お召し」という名称は、徳川家斉公が好んでお召しになったことから来ています。和装の場合、糸を先染めして織る「織り」よりも白生地を染める「染め」の方が格の高い生地とされていますが、お召しだけは例外で略礼装にも用いられます。

紬(つむぎ)

紬糸(撚りをかけた糸)で織った絹織物を紬といいます。独特の風合いがあり、洒落着用生地の最高峰と呼ばれます。作るのに手間がかかり高価ですが、織りなのであくまでも格は普段着。趣味の外出着、洒落着として好まれます。

紗(しゃ)

糸の間にすきまを作る「もじり織り」の絹織物です。薄く張りがあって、通気性が良く、雅楽の衣装や夏の着物に使われます。

絽(ろ)

もじり織りで、すき間のある生地です。素材は絹の他に、綿、レーヨンなどさまざま。薄手で軽く透け感のある、代表的な夏の着物地です。

着物は生地によって着用するシーンや着るシーズンが異なります。シーンや季節に合わせた生地を選べるようになると、着物がもっと楽しくなります。

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