用途に合わせて選ぼう!着物の柄の主な種類について

投稿日:2019年07月24日

用途に合わせて選ぼう!着物の柄の主な種類について

着物に描かれる柄や文様には、さまざまな意味が込められています。おめでたい柄や格調の高い柄など、柄の性格を知っておけば、着るシーンによりふさわしい着物を選ぶことができます。ここでは代表的な着物の柄の種類と、どんな意味を持つかをご紹介します。

有職文様(ゆうそくもんよう)

有職文様とは、海外(特に中国)から伝来した文様です。古来、儀式や故実に詳しい学者や僧を有識者と言いました。有識者の着物や持ち物に伝来文様が使われたことから、有職文様の名がついたとされています。平安時代から続く格調高い柄です。主な有職文様は以下になります。

唐草文

つる草が絡み合うように連続する文様です。葡萄唐草、菊唐草など種類も多数あります。

菱文

菱型を連ねた連続文様の他、菱を四分割した四菱、花に見立てた花菱などがあります。

亀甲文

北を守護する玄武にあやかった文様。六角の中に花菱、梅、唐花、鷹羽などが入ります。

七宝文

七宝つなぎとも呼ばれる輪つなぎ文。円形を4つ重ねて無限に広がってゆく開運の文です。

立沸文など

2本の曲線で水蒸気が湧きあがって行く様を表した文様。菊立沸、雲立沸などがあります。

吉祥文様(きっしょうもんよう)

長寿、盛運、不老不死などの願いが込められた縁起の良い柄です。結婚式をはじめとして歳祝いなどの慶事に好んで使われる文様です。主な吉祥文様は以下になります。

鶴は千年生きると言われる長寿のシンボル。万年生きる亀と共に描く鶴亀文様もあります。

鳳凰

中国の伝説の霊鳥。雄鳥が鳳で雌鳥が凰。天子が治める平和な世に現れると言われます。

松竹梅

常緑が長寿を表す松、成長を表す竹、香り高く典雅な梅と縁起の良い植物を3つ合わせた祝文様です。

天に登る龍は、運気上昇、成功のシンボル。男の子の祝事に好まれる凛々しい紋様です。

宝尽くし

扇面、小槌、珊瑚など、おめでたい宝物を散らした文様。福徳を招くと言われています。

古典柄

古来より受け継がれて来た、伝統の絵柄が古典柄です。平安時代の事物を描いたものや、物語に題材を取ったものなど、さまざまな柄があります。主な古典文様は以下になります。

熨斗(のし)

祝儀に添える熨斗を意匠化した文様。熨斗を束にした束ね熨斗は多くの幸せを得るという意味があります。

大きく美しい音が「鳴る」鼓は、「実がなる」、「物事が成る」などにかけて成功を表す文様です。

御所車

平安時代の貴族が乗った御所車は、高貴さと華やかさのある幸せの象徴。花を満載した花車もあります。

扇面

扇は末広がりに開くので、末広がりに運気が開ける縁起の良い紋様とされています。

源氏香

組香(くみこう、香道で使うお香の組合せ)を源氏物語の52の章にあてはめたデザイン。雅で上品な文様です。「若紫」「御法」など章によって慶弔に使い分けることができます。

物語文

伊勢物語や源氏物語など、名のある物語の一場面を描いた文様。典雅で格調高い絵柄です。どの場面を描くかで慶弔に使い分けることもできます。

鳥、蝶など生物の文様

鳥や蝶の文様には、生物としての性質にちなんだ意味が込められています。

蝶、花と蝶

幼虫からサナギになり羽化する蝶は、美しい羽を持ち天へ飛び立つことから、成功や成長、立身出世を意味する縁起の良い文様です。

鴛鴦(おしどり)

おしどりは生涯同じ相手とつがいでいることから、夫婦和合を意味する祝い柄です。

猛禽の鷹は強く雄々しいことから、男子の成長や立身出世を祈る意味があります。

千鳥

千鳥とは水辺に群れる小鳥たちのことです。特に2匹の千鳥が波間を飛ぶことを浜千鳥と言い、2匹が力を合わせて荒波を超えてゆくことから家内安全や夫婦円満の意味を持ちます。

花の文様

花の文様には、咲く季節を表したものと、花に由来する意味を持つものがあります。

牡丹

大輪の花を咲かせる牡丹は平安時代から描かれた百花の王様、富貴と幸福を意味します。

日本では桜は花の代名詞。五穀豊穣を祈る意味もあります。春の花ですが一年中着ることができます。

天皇家の紋でもある菊は高貴な花。浄化、厄除け、長寿の意味を持ちます。秋の花ですが一年中着ることができます。

寒さの中一番に咲く梅は、忍耐と美しさを兼ね備えた花。美しさと強さを表します。

薔薇

西洋の花言葉がイメージなった現代的な紋様。愛情、情熱など色ごとにテーマワードがあります。

柄や文様の意味を知ると、着物選びがいっそう楽しくなります。上記を参考に好きな着物の柄を選んでみてください。

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