季節に合わせた着物の種類とその違い

投稿日:2019年07月25日

季節に合わせた着物の種類とその違い

洋服の場合、6月と10月に衣替えをして夏服・冬服を切り替えます。着物の場合も季節に合わせて装いを変えますが、洋服のように半袖・長袖があるわけではないので、素材(生地)や仕立て方で変化をつけます。

季節ごとに着物は、「単衣(ひとえ)」、「薄物(うすもの)」、「袷(あわせ)」と変化します。改まった席では季節に合った着物を着るのがマナーなので、季節に合わせた着物の種類と違いをおぼえておきましょう。

10月~5月ごろに着る着物

10~5月には、裏地の付いた「袷(あわせ)」仕立ての着物を着ます。体温調節には襦袢を使い、秋口でまだ暑い時は中の襦袢を薄手にします。昔は襦袢にも単衣と袷があり、真冬の寒い時期には袷の着物に袷の襦袢を合わせたりましたが、空調の効いた現代は真冬でもそれほど寒くないので、袷の襦袢はほとんど見ることがありません。袖だけ袷に見えるようにした「袖無双」が主流です。
季節感を表すには着物の色・柄だけでなく、帯と半襟がポイントになります。気温が高い10月や5月は単帯、寒い時期は厚手の帯を締めます。半襟の場合、素材は同じでも色を暖色や濃い色にして温かさを演出します。ウールの着物は、暖かみがある素材なので冬におすすめの素材です。

6月、9月ごろに着る着物

少しずつ季節が移り替わり始める6、9月には裏地のつかない「単衣(ひとえ)」仕立ての着物を着ます。襦袢も夏向きの絽素材のものにします。半襟は透け感のあるものを意識して、レース素材も涼やかな印象です。
帯は透ける素材の絽・紗・麻か、シャリ感があって涼やかな博多帯が適します。
季節は「先取り」が粋なので、暑ければ5月でも夏着を着てもかまいませんが、9月にいつもでも夏着を着続けるのは粋でありません。9月中旬を過ぎたら透ける素材は控えて帯も透けない博多帯などにするのがおすすめです。

7月、8月ごろに着る着物

7月、8月は盛夏。夏向きの中でもより一層涼しげな装いにします。着物は絽・紗など、襦袢が透けて見える薄物(うすもの)を着ます。襦袢も絽・紗・麻、または冷感素材の夏襦袢にします。薄物は淡色か藍や緑など寒色が涼しげです。柄は、竹や露芝、水流など、すっきりと清涼感のあるものが好まれます。

季節に合わせた着物と小物の目安

1月~5月

着物:袷
襦袢:袖無双(1月~4月)、単衣(5月)
帯:透け感のない素材(縮緬・塩瀬・綸子・錦織・紬)、5月後半は単帯、博多帯は通年通して使用可
半襟:袷用(透け感のない素材)

6月~9月

着物:単衣(6月、9月)、薄物(7~8月)
襦袢:夏襦袢
帯:夏帯(絽・紗・羅・麻・芭蕉布など透け感素材)、博多帯は通年通して使用可
半襟:夏用(透け感の素材)

10月~12月

着物:袷
襦袢:単衣(10月)、袖無双(11~12月)
帯:透け感のない素材(縮緬・塩瀬・綸子・錦織・紬)、10月前半は単帯、博多帯は通年通して使用可
半襟:袷用(透け感のない素材)

上記はあくまでも月に合わせた着物の目安です。いくら季節に合った着物を着るのがマナーとはいえ、無理に合わせて着物が不快に感じるのはナンセンスです。よほど季節違いでない限りは、その日の天気や気温に合わせて着物を選んでも差し支えありませんよ。

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