どんな種類がある? 着物の種類と格について

投稿日:2019年07月23日

どんな種類がある? 着物の種類と格について

洋服の場合、フォーマル、ドレスアップ、カジュアルなどといった服装の分け方がありますが、和服の装いを決めるときに基準となるのは着物の「格」。着て行く場によってふさわしい格が決まっています。ルールと考えてしまうと堅苦しい気がしますが、結婚式に普段着で行かないのと同じことと考えればわかりやすいのではないでしょうか。着物の格とどんな種類があるのかを知っておけば、着物のおしゃれをもっと楽しめますよ。

着物の格とは?

冠婚葬祭など正式行事のときに着るのが格の高い着物。次いで行事以外の外出やおしゃれ着があり、最も格が低いのは日常に着る普段着です。

↑格が高い
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冠(正式行事)、婚(婚礼・結納)、葬(葬儀・法事)
外出(パーティ・観劇)、遊び(茶会など趣味)、おしゃれ
普段
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↓格が低い

格ごとに素材(生地)や色、紋の数、絵柄の配置などに決まりがあります。帯や小物にも格があり、コーディネートするときは格を合わせるのが基本です。格の高い行事の席へ格下の着物を着て行くのはタブーとされています。

着物の格とそれぞれの種類について

着物の格そしてそれぞれどのような場面で着たらよいのかをまとめてみました。

礼装

冠(成人式や授章など)、婚(結婚式や結納)、葬(葬儀)、祭(法事など)など、最も改まった席で着る衣装です。正礼装、第一礼装ともいいます。

黒留袖

既婚女性が慶事(結婚式などお祝い)で着る、最も格の高い着物です。地は黒で染めてあり、裾に模様が描かれます。紋は染め抜き日向五つ紋を入れます。最も格の高いものではあるのですが、宮中は黒が禁色なので、宮中の行事に参加する場合は色留袖を着用します。

色留袖(五つ紋)

黒留袖と同じく裾に模様が描かれた、色無地の着物が色留袖です。五つ紋を付けた色留袖は、黒留袖と同格とみなされます。色があって華やかなので、結婚式の親族にも色留袖を着る人が多くなっています。

振袖

振袖は、未婚女性の第一礼装。袖の長さによって大振袖、中振袖、小振袖と種類があります。大振袖は花嫁のお色直し、中振袖は成人式や結婚披露宴などに着ます。小振袖は十三参りや、袴と合わせるときなどに着ます。

喪服

喪服は、弔事(葬儀や告別式)の第一礼装です。黒一色で染めて染め抜き日向五つ紋をつけます。喪服の場合は未婚、既婚を問いません。黒喪服に色喪帯(灰色などの暗色)を締めると略式になり、法事などで着用します。

準礼装

結婚式でも招待される側など、格を持ちつつ控え目にしたいときに着るのが準礼装です。

色留袖、色無地(三つ紋もしくは一つ紋)

細かな地紋のある生地を一色で染めたのが色無地。三つ紋もしくは一つ紋で準礼装になります。色無地は慶事・弔事両方に着ることができます。慶事の場合は華やかな袋帯を結び、黒喪帯や色喪帯を結べば法事に着られます。

訪問着(三つ紋もしくは一つ紋)

肩、袖、裾と模様が繋がった「絵羽模様」が訪問着の特徴。華やかでお祝いの席に好まれ、未婚・既婚を関わらず着ることができます。紋を付けると準礼装になります。

振袖

未婚女性の場合、礼装、準礼装、略礼装として振袖を着ることができます。この場合の振袖は中振袖を指しますが、近年は背が高いために大振袖を選ぶ人も見られます。

略礼装

略礼装は、パーティーやお茶会など、準礼装よりかしこまらない席に向きます。

色無地(一つ紋)、訪問着(一つ紋)、付下げ

訪問着と似ていますが、柄が絵羽模様になっていないのが付下げです。着て行く場は訪問着とほぼ変わりません。訪問着より若干控えた印象です。

小紋(一つ紋)

型染めの小さな模様が全面に描かれる小紋。江戸小紋や加賀小紋があり、紋を付ければ略礼服として使えます。

外出着

会合、外出、観劇、茶会など、それほど格式にこだわらない服装。通常紋はつきません。

小紋、紬

紬糸(つむぎいと)という、撚りをかけた絹糸で織ったのが紬。独特の風合いがあり、着物の粋の頂点と言われます。紬の格はあくまで日常着なので、どれほど高価な紬でも冠婚葬祭では着られません。

普段着

日常的に着物を着ない現代では、おしゃれとして着るものになっています。

ウール

羊毛を使った毛織物。絹に比べて丈夫で、気軽に着ることができます。

浴衣

盛夏に着る単衣の着物。夏祭や花火大会に欠かせないファッションの1つです。

着物の格と種類をおぼえたら、「何を着て行けばいいかわからない」ということはありません。TPOに合わせて着物を選び、和の装いを楽しんでください。

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