男性用の着物の種類とそれぞれの特徴

投稿日:2019年09月18日

男性用の着物の種類とそれぞれの特徴

近頃は男性もおしゃれとして着物を楽しむ方が増えています。女性の場合は留袖や訪問着など、着て行く場によってふさわしい格の着物が決まっていますが、男性の場合はどうでしょう? 着物の女性と一緒に出掛ける場合、釣り合う着物かどうかも気になるところです。ここでは男性用の着物の種類と特徴をまとめてご紹介します。

男性用の着物にも格がある?

男性用の着物にも、着て行く場にふさわしい格はあります。ただ男性の場合、一般的に着物の種類自体が少ないので、女性ほど細かく格付けが分かれてはいません。また女性の振袖のように既婚・未婚で着物が変わることもないので、紋付羽織袴があれば改まった席をほぼカバーすることができます。男性の場合、着物の格は「礼装」と「それ以外」という大まかな分け方を知っておけば問題はないと言えます。

着物の格はどうやって決まる?

着物の格は、どういう場所(席)へ着て行くかによって決まります。日本の場合、冠(式典)、婚(結婚式)、葬(葬儀・法事)、祭(行事、催事など)には、その場にふさわしく格の高い着物で参加するのが礼儀です。着物の格分けは一般的に以下のようになっています。

着物の格分け

礼装(第一礼装)

公式式典、受勲など

準礼装・略礼装

結婚式、結納、祝賀会、葬儀、法事、催事、改まった訪問、パーティー、献茶会

外出着・洒落着

ショッピング、観劇、会合、茶会

普段着

日常生活、気軽な外出、稽古ごと

男性用の着物と格の種類について

男性用着物の場合、羽織、着物(長着)、袴の「素材」や「紋の有無」などによって格が変わります。

礼装・略礼装

女性と同じく礼装には「染め」の着物が用いられます。第一礼装は、黒の紋付き羽織に黒の長着を着て、袴を付けます。準礼装・略礼装は色紋付もしくは紋付の江戸小紋になりますが、黒の紋付羽織に色長着を合わせることも可能です。女性の場合、略礼装の席に第一礼装は「装い過ぎ」とされますが、男性の場合は黒紋付羽織袴で祝賀会などに出席する人もいて、特に問題はありません。黒紋付羽織袴は、女性の第一礼装よりは着られる場所が多いのです。
「織り」の着物は大島紬のように高価なものでも礼服にはならないとされていますが、例外として「お召し」と呼ばれる縮緬織り(ちりめんおり)だけは、紋を付けて略礼服にすることができます。「お召し」は将軍徳川家斉が好んでお召しになったことから「お召し」と呼ばれる着物で、ほかの紬よりも一段上の格に位置付けられているからです。

外出着

男性の着物の場合、外出着と普段着の差はほぼないと言って良いでしょう。一般的に外出着とされるのは紬やお召しの着物ですが、ウールやシルクウールの着物を帽子と合わせて洒落着として着る人もいます。羽織は洋服で言うとジャケットにあたるものなので、羽織を着れば少し改まった外出着になり、羽織も袴もつけない「気流し」で着るとカジュアルな外出着になります。袖なしの羽織はその中間で、きちんとしてはいるけれど肩肘張らない装いとして趣味人などに好まれます。

普段着

丈夫な綿の着物は作業に向くため普段着に格付けされていますが、夏場の浴衣は祭などに着て行ける外出着になっています。ウールやシルクウールの着物は、丈夫で温かく冬場の普段着に向きます。着物とは少し異なりますが、夏場の甚平(じんべえ)や作業をする時の作務衣(さむえ)も和服の普段着と言えます。

男性用の着物は女性に比べると格付けが細かいわけではなく、年齢や既婚・未婚も関係ないため、一着で様々な場面、長い期間に渡って着続けることができます。上記を参考に、隣の女性の着物の格と合わせて選ぶことができたら、着物でお出かけすることがもっと楽しくなりますね。男性の方も、さまざまなシーンで着物を着てみませんか?

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